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プレゼントループ
「これどうぞ!」
彼女からの、56回目のプレゼントだ。
俺は一年前のある日。
彼女の誕生日にプレゼントを贈ったときの話から続いている話だ。
最初は一人の友達として送った一個の熊のぬいぐるみがきっかけだった。
彼女は熊のぬいぐるみが大好きだったのか、凄く喜んでは幸せな笑みを浮かべていた。
お礼に、俺の誕生日の日には一つの手紙と、5000円ぐらいのキャラクター物のプラモデルを頂いた。
おまけにプラモデル用の接着剤や塗料やら。
彼女は俺の好みを知っていたのかどうかわからなかったが、この時の俺はとてもはしゃいでいた。
もちろん、そのプラモデルは丁寧に作り、今でも部屋のインテリとして飾ってある。
そして俺は、お礼として彼女に違う形の熊のぬいぐるみと、少々迷いはしたもののニワトリのぬいぐるみを送った。
彼女は最初は驚いたものの、素直に喜んでくれた。
時は経ち、進学すると同時にまた〝彼女〟と出会った。
どうやら俺と同じ学校らしいが、彼女は俺に可愛らしくラッピング袋につつまれた箱を渡した。
「良かったらどうぞ」
「どうも」
「えへへへ」
彼女は、はにかんだ笑みを浮かべた。
その後は、お互いそれ以上の関係には発展せず、プレゼントを贈っては贈る。その繰り返し。
流石にやりすぎじゃないかな、とお互い思ってしまっていたが好意で贈っているからいいじゃないかという結論に至った。
それに、そんな悪い気がしない。
いずれ、プレゼント交換の繰り返しは止まってしまうのかもしれないけど、ずっとこういう日が続けばいいと思う。
お互い、お金はかかるけど。
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