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「えっ……?」
何が起こったのか理解できず、身体が硬直する。
だが、何度瞼を瞬かせても、目の前で八犬が倒れている事実は変わらない。
やや間があって、柊は弾きだされたように八犬に寄り、上体を抱え起こした。
「ち、ちょっとっ! どうしました、八犬さんっ!?」
「い、樹……様……」
八犬の唇が、辛うじて音を漏らす。
間近で見る彼の瞳は、まるで死んだ魚のように濁っていて、生命というものが感じられなかった。
「八犬さん、八犬さんっ!」
「樹様に……何か、起こりました……だから……眷属達に、影響が……」
「じゃあ、今頃、みんなも同じように……?」
「おそらく……。樹様を、樹様を助ければ、みんな……」
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