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ちなみにさっきの電話の相手は、現在レッドを絶体絶命のピンチに追い込んでいる幹部なのだから役者はすごい。
「次回のブルーさんの台詞、すごい量だったですしね」
「もー!いっくん!」
「あ......」
「ブルーは撮影の時だけだよー!プライベートは葵って呼んでほしいなぁ」
台本を開きながら、レッドを咎める女性。
彼女は新堂葵。
22歳の若手女優。
クールで頭脳明晰なブルーを演じるが、その正体は可愛いものや森林浴が大好きな森ガールだ。
「おーす!買ってきたでー!」
「萌ちゃーんありがとー!」
「気にすんな!暇やっただけやから!葵はコーラやっけ?」
「そうそうー!」
そしてもう1人。
萌、と呼ばれたこの関西弁少女も『正義のミカタ』の1人である。
『レッド君......好きだよ......』
2週間に行われたレッドとピンクによる告白回。
剛力萌は、この小動物的な愛くるしさが人気なピンクを演じているのである。
「萌ちゃんは何買ってきたの?」
「うち?うちはこれ!」
「わー!プロテインだー!」
「新発売のフレーバーや!一口飲むか?」
「大丈夫ー!」
......そんなファンが満面の笑みでプロテインを飲むピンクなど見たら、失神ものであろう。
共演してしばらく経つが、一郎は未だこの男前すぎる萌がピンクに選ばれた理由が分からなかった。
「あ、せやイチロー」
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