4歳の秋

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ママが出かけた後、ブロックを組み立てて遊びながらも、私の頭の中は、さっき見たチョコレートの事で頭がいっぱいだった。 ママは、なんて意地悪なんだろう。 こっそり、あんなところにチョコレートを隠しているなんて・・・ 私に内緒で、一人でこっそり食べていたに違いない。 あの、甘い、素敵に美味しい味が蘇る。 手にしたブロックも、チョコレートに見えてくる。 お菓子を勝手に食べて、お尻を叩かれた事を思い出して、ぎゅっと目を閉じたけれど、どうしても我慢出来なくなった。 こっそり・・・・ そう、ひとかけらくらいなら、バレないかも知れない。 ママが悪いんだ。 隠してる、ママが悪いんだ。 小さなダイニングテーブルの椅子を、食器棚の前まで、ガタガタと音を立てながら、動かした。 椅子の上に立って、手を伸ばしてみたけれど、届かない。 どうしても、あのチョコレートが食べたい私は、諦められなくて、周囲を見渡した。 私が畳の部屋で座る、小さな椅子が目に入った。 椅子から降りて、子供用の小さな椅子を取りに行く。 それを、椅子の上に乗せて、よじ登る。 小さな椅子の上に上がるのは、かなり怖かったけれど、私はチョコレートを食べる事しか考えられなかった。 ぐらぐらする、不安定な足下。 危ないと自分でもわかっていたけれど、思い切って伸ばした手が、ガラス戸に届いた時には、「やった!」と、心の中で叫んだ。 そろそろと、ガラス戸をあけて、手を入れると、頃合いの大きさの箱が手に当たった。 これだ。 引っ張り出したそれは、観た事のない柄の箱だったけれど、引っ張り出したフィルムを剥がしたそれは、まさしく、チョコレート! 私は、喜びに胸を高鳴らせながら、それに、がぶりとかぶりついた。
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