啼哭

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マッシュは、今年で15才の老犬だ。すでに足腰は弱り、自分の名前も理解できない。だけど、お腹が空けばご飯を出してくれる、トイレをすれば片付けてくれる、そんなこの家の人たちのことは、特別なものだと感じている。だから、“その時”が来る前にお返しをしなきゃいけない。マッシュはいつもそう考えていた。 「またマッシュ!もう夜泣きはやめて!」 ある時から、マッシュの夜泣きが酷くなった。母がマッシュを叱りつけるが、いつまでも大声で叫ぶのをやめない。 「みんなありがとうー!大好きだよー!」 今夜もマッシュのお礼が大声で響き渡る。
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