第一章 特殊警察部 怪奇課 幽霊係

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 角野が堺を宥めながら紹介を始めた。 「この子はね、(さかい) 祥真(しょうま)君。今年でここの二年目。春市君の一つ下かな?」  部署としは先輩、警察官としては後輩である堺は、大和を上から下へとジロジロ見ている。最初の興味なさげな態度は微塵もない。 「それだけ強いと霊と人間の区別もつかないんじゃないの?」  堺の言葉に大和は目を伏せる。そのせいで何度も不気味がられた過去を背負っているからだ。 「はい」 「だったらここに配属された原因も分かってないでしょ? どうして見えることがバレたんだ?って思ってるんじゃない?」  的確な堺の言葉に、大和は顔を上げ「そうなんです!」と話に食いついた。 「人事はどうして俺が見えるって気づいたんでしょうか。自分で言うのもなんですが、結構この体質を隠せていると思ってたんですけど」  まだ真相に気づかない大和に「本当に霊力が強いんだな」と角野は感心し、マルは喉を鳴らし、堺は舌打ちをして話を続けた。 「採用試験の話を同期としたことがあるか?」 「あります。俺だけ質問の数が多くて……」 「それだよ」 「え?」 「面接官の話はしたことある?」 「ありますよ。顔が怖かったとか、圧迫面接されたとか」 「人数は?」 「人数? それは話題に上ったことないです。3人いたのは覚えてます。人によって違うんですか?」  堺は「あーもう、ムカつく。俺、もう現場に行きます。おいで、チャップリン」と犬を連れて仕事へ向かってしまった。  大和に全ての解明をしてくれたのは角野だった。 「面接官は3人だ。どの受験生にも平等にね。でもそのうち1人は幽霊だ。きっと君の同期達は「面接官は2人だった」というだろうね」 大和は息を飲んだ。 「堺君は面接の段階で気づいたみたい。身体が少し透けているからね。でも君はその霊力の強さのせいで生身の人間と変わらずに見えたのだろう」 「待ってください。他の面接官は知っているんですか? 面接官に幽霊が混ざっていることを」 「知っている。しかし見えない。だが、必ず4つ目の質問は幽霊の面接官が出すことになっている。正常な人間は3問目を答えた後、少しの間があり4問目と見せかけ5問目に答えているのさ。逆に幽霊による4問目に答えたものは──」 ──幽霊が見える証 「つまり採用試験の段階で俺はこの部署に配属される事が決まっていたんですか?」  角野とマルが同時に頷いた。
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