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ある民家の前に1台のパトカーが停まっていた。中に乗っていた警察官は既に民家の中。
「怪しい物音が酷くなったのはいつからですか?」
制服に身を包んだ警察官が通報者に尋ねる。通報者であるこの民家に嫁いできた女性は「半年前からです」と頭を抱えていた。普通ならば怪しい物音がすれば即110番だ。半年以上かかったのには理由がある。それは──
「やはり幽霊の仕業なのでしょうか」
「ええ、そうだと思います」
はっきりと警察官に言われ、女性は青ざめた。これ以上血の気を失わないよう、警察官は帽子で女性から視線を隠しながら部屋を見渡す。
──悪戯好きの霊が三体……かな
突如やってきた幽霊専門警察官に、この民家で好き放題してい幽霊達は追い出す策を練っていた。勿論、その話し声も、幽霊専門警察官・春市 大和には聞こえている。
「知性が低そうだの」
大和より低くしゃがれた声が聞こえる。
その声に「ゲンさんうるさい」と大和は思わず答える。すると女性は首をかしげた。
「ああ、いえ、この子の落ち着きがないもので!」
慌てて大和は足元にいる狸を撫でた。
「あら、可愛らしい狸さん。お仕事ご苦労様です」
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