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大和は物心着いた時からこの世のものでは無い存在が見えていた。汚れた世の中を知らない時は、所謂「幽霊」や「妖怪」の類が見えることはとても楽しいことだった。
しかし、
「大和、きもちわりー」
小学生の頃、友人に放たれた言葉が全てを変えた。特異な個性は受け入れられることなく、大和にとって邪魔な体質になっていった。中学へあがる前、父の転勤が決まり、新天地では自分のそれを隠して生きてきた。
しかし見えることに変わりはない。
廊下ですれ違ったセーラー服の女子を「可愛いな」と言った時、友人のキョロキョロする姿は今でも忘れられない。
──見えるもの、感じるものを直ぐに言葉にしてはいけない。だって普通の人には見えていない可能性があるのだから
大和は見える事を隠すために発言や視線には最大限の注意を払って生きた。
その結果、人より発言が遅れてドン臭く見えるのである。染み付いた癖は抜けなかったのか、採用試験の面接にも出たと同期に言われた時は、苦笑いを零すしかなかった。
──しかし、来年度からは隠してきた体質を活かさなければならない
適材適所な筈なのに、喜べないのは、同期に胸を張って異動の件を告げられないほど、特殊警察部が白い目で見られている部署だからだ。
見えない存在と戦う姿は傍から見れば滑稽で、感謝もしにくい。項垂れる犯人の姿も見えなければ、かっこよく逮捕する姿も普通の人間には写らないのだから。
演技……もしくは道化師にしか見えない。
同期達にも自分が見える存在だと知られてしまう。大和は、今日が最後の飲み会かもしれないと、いつも以上に酒を煽った。
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