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安堵して、眠気さえ感じて、ふとみぞおちに切なさをおぼえた。
「……っ……叔父、様っ……」
顔を伏せたまま撫でる手の手首を取り、両手を絡めた。
――離れないで。
ここにいるのだと安心したかった。失ってしまいそうで怖かった。
手の中に抱いた体温に縋りつき、瞼をきつく閉じる。
指先に、とくり、とくりと、諒の脈を感じた。
――私は、こんなに依存心の強い人間だったの?
自己嫌悪が更に指に力をこめさせた。
強張った指を、諒の指が撫でる。
戒められた手首を外さないようにしながら、指だけを小さく動かしているようだ。
「だいじょうぶですよ。僕は、ずっとここにいますから」
その言葉にうん、うんと頷くうちにやがて霧のような睡魔が這いよってきた。意識を呑まれながらも、耳だけはくりかえされる彼の言葉を最後まで欲していた。
僕は、ずっと、ここにいますから。
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