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ゆっくりと頷いて、ほら抵抗していない、とばかりに柊二を見遣る。柊二は肩を軽く竦めた。
「お腹が空いたでしょう。夕食にしましょうか」
笑んで立ち上がる。兵働と森下は支度に向かうらしく先に部屋を出た。
沙璃が屋敷に着いたときに、もう六時半はまわっていたはずだ。そのあと湯を使い、着替え、ここで話をして……。
「待っていてくださったのですか?」
驚きと申し訳なさに声が上擦る。
「お客様を待つのは当然でしょう? それに、ひとりで食事をするのは味気ないのですよ」
――ひとり?
沙璃は思わず柊二を見た。彼はそ知らぬ顔で、応接間の扉を開いた。
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