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頷く。小さな木箱を抱く手にぎゅっと力がこもった。
取っておきたいものなんて、本当はいくらでもある。
柊二は沙璃の背をぽんぽんと叩いた。
「置き場所なんてな、倉庫でもなんでも借りりゃいいんだ。諒様は喜んで出すと思うよ。俺が出すっていうんじゃないのがあれだけどさ」
「う、ん……」
みぞおちが熱くなり、喉になにかが詰まった感じがする。悪い感覚ではなかったが、人前でこれは非常にまずい。
――昨日、泣きつくしたと思ったのに。
「あ、案内するから。お願い」
沙璃は歩幅広く歩きだして、背で言った。
「……ありがとう。本当に」
柊二はあえて半歩後ろを歩いて、沙璃の顔を見ようとしなかった。
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