救い

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 丸い卓の上に何羽もの鳥が舞えば、薄青の壁紙は空のように見えた。あの小さな家にあった彫像がこの豪華な寝室にあるのは不思議な光景だった。  最後に残ったのは、絵画の包み。  アメリカン・ヴィクトリアン様式の洋館を描いた、あの胸騒ぎのする油彩画だ。  包装を解きかけて、止めた。  元々あまり好きな絵ではない。ただ柊二に促されて持ってきただけ。  なにをしているのだろう。  困惑は落胆に変わり、やがて苛立ちが小波のように広がっていく。  扉が控えめにノックされたのは、そんなときだった。  諒は両手に白い花を抱いていた。  百合、こでまり、薔薇、一重の薔薇、ミルク色の薔薇、杜若、アルストロメリア、ネメシア、つりがねそう、ブッドレア、うつぎ、遅咲きのチューリップ、それから……。  庭に咲いていた白い花という白い花を切ってきた。そんなふうだった。 「おかえりなさい、沙璃さん。それから、これ、百合乃さんに」  諒は淡く微笑んでいたが、それが沙璃に気を遣わせないために作った表情だと一目でわかった。白い花の側で見ると、彼はいっそ儚くさえ見えた。  礼を言って深く頭を下げる。百合の、薔薇の、うつぎの甘く強い香り。  甘く香る花々を受けとって、大きな花瓶を抱えた森下を部屋に招き入れた。諒は戸口に立ったままだ。沙璃は躊躇いがちに彼を招いた。     
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