01 ぼくはねこ。

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 初めて見る広い世界。  そこには、僕を見つめる存在がいた。  ヒトだ。  ヒトの子だ。  ママに教えてもらった。  ヒトは甘えて声で鳴くとご飯をくれる。  だから、僕はヒトに甘える声で鳴いてみた。  するとヒトは僕の尻尾を掴みそのまま僕を誘拐した。  僕の必死の抗議も聞いてもらえない。  なぜなら、彼らには僕の言葉を理解する知能がないから……  誘拐犯は、大きな家の前に立つと大人のヒトに何かを話している。 「飼ってもいいでしょ?」 「だって、かわいそうだもん……」 「さあ、ママも一緒に捨ててあげるから……」  僕は、ヒトの言葉を理解できない。  なぜなら僕は子どもだから……  大人のヒトは、僕を箱のなかに入れた。  明かるかった世界が暗くなる。  そして、そのあと大きな地震が来たあと箱の底から不味い水が溢れてくる。  僕、どうなるの?
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