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暫くするとヒトの子は、石を投げるのを辞めた。
飽きたのだろう。
僕は、痛みに耐えながらお寺の下に隠れ傷を舐める。
舐める度に激痛が走る。
目の前を、優雅そうな猫が横切った。
猫は僕を横目にこう言った。
「ダッサーイ」
猫は首輪をつけていた。
飼い猫だ。
その首輪を見たら無性にママに会いたくなった。
だけど僕はノラねこ。
ネコの子だけど僕はノラだ。
あ、そっか。
僕はノラ、つまり捨てられたんだ。
僕は、涙をこらえて傷をなめた。
泣いたって何も変わらないのだから……
だから、僕は鳴く。
泣けないのなら僕は鳴く。
ただ、ただ、ただ、ひたすらに……
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