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僕はじっと何かを待っていた。
すると頭の上から声が聞こえた。
低いどんよりした声だった。
「小僧、名前はなんだ?」
とねこのおじさんが尋ねてきた。
「名前はないよ」
僕は、そう答えた。
「なら、野良か?」
「ノラって名前じゃないよ??」
「そうじゃない、坊主、覚えておけ。
この世界では、名前があるヤツは飼い猫で、
名前の無いやつがノラなんだ。
だから、もしヒトがお前のことを名前っぽく
呼んだのなら、必ず媚びろ。
お前みたいなヤツは、そうやらなければ生きていけない」
僕は、ふーんって思った。
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