02 ぼくとおじさん。

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 僕はじっと何かを待っていた。  すると頭の上から声が聞こえた。  低いどんよりした声だった。 「小僧、名前はなんだ?」  とねこのおじさんが尋ねてきた。 「名前はないよ」  僕は、そう答えた。 「なら、野良か?」 「ノラって名前じゃないよ??」 「そうじゃない、坊主、覚えておけ。  この世界では、名前があるヤツは飼い猫で、  名前の無いやつがノラなんだ。  だから、もしヒトがお前のことを名前っぽく  呼んだのなら、必ず媚びろ。  お前みたいなヤツは、そうやらなければ生きていけない」 僕は、ふーんって思った。
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