Lv6 一歩前進

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ハル「…ほら、知らない単語が出て来た。一は、私達の知らない言葉を沢山知っている。」 セラ「そうかも知れないけど、きっとロクでもない事よ」 一「あぁ!そうだよ!!ロクでもない事だよ!!今言ったのはな!!」 セラ「ほら、逆ギレよ。この男」 一「そして、俺はこの世界の事がサッパリ分からねぇ」 セラ「…はぁ?この世界が分からないぃ…??」 一「俺はこの世界の住人じゃないものでな。コッチの世界の事は分からねーの」 首をかしげられる。無理も無いだろう、異世界から来ましたって誰が信じるんだ ハル「……」 …あ、うん……居たわ。ここに……… セラ「あー…はいはい。それでハルが興味を………。何となく分かってきたわ…」 セラって結構、ハイスペックだな。今の説明で、ほぼ分かったって顔している 一「だから教えて欲しい」 セラ「は?何を」 一「さっきのを見ると、セラは腕利きのシーフだ。情報が欲しい」 セラ「……」 そう、言葉にした瞬間。セラの顔…いや、目つきが変わる セラ「情報?」 一「恥ずかしい話なんだが、ここに来る前。ハルと出会う前に、ある物を盗まれた」 リリ「一さん」 一「いいから。知ってるなら教えてもらった方が早い」 セラ「…」 一「顔は見えなかった」 セラ「はぁ?そんなの、どう探すつもりなのよ」 一「手がかりは2つ」 セラ「言ってみなさい」 一「1つ。女の声だった」 セラ「女……ねぇ」 一「そして、もう一つ。白いフードを被っていた」 セラ「!!」 一瞬だが、確実にセラの表情が変わった 一「何か……知っているか?知っているなら、教えてくれ」 セラ「……そう…ね。じゃあ、これだけ聞かせて貰えるかしら」 一「ん?」 セラ「アンタは。私を疑っているわけ?」 一「いや、違う。本当に知っているなら教えて欲しいだけだ」 セラ「ふーん」 セラがそれだけ言うと、少しの沈黙。セラだけじゃなく、ハルまで セラ「女で、白いフードねぇ……。一人だけ、心当たりがあるわ」 一「っ!本当か!!!?」 ハル「……」 セラ「でも、違うわ」 一「何で……そんなハッキリと言い切れるんだ?」 セラ「何故って、そりゃあ」 ウエストポーチの様な物からセラは、バサァっといい音を鳴らしながら、何かを取り出す……って… セラ「昔、だけれど。白いフードを被って、顔を見せないようにしていたのは私、だから」 手には見覚えのあるフード。真っ白な……そして、綺麗なフードを持っているセラ リリ「……」 リリも唖然とする セラ「私はアンタ達と会ったのは、今さっきが初めてだし。それに、もう私は人から盗むのは止めているわ」 一「なん……で、だ??」 本当に、素朴な疑問だった セラ「何で、って気付かれた事がないからよ。スリルがなさ過ぎる。だから今は、魔物から奪ってるわ」 リリ「魔物……から…っですか?」 セラ「えぇ。スリル満点よ?」 ニッコリと良い笑顔で笑うセラ。俺でも分かる……いや、俺だからこそ分かる。魔物から物を盗むのは簡単じゃない。それこそ神業程の技が必要だろう 一「マジ……かよ…」 セラ「マジよ」 ハル「…本当に人から盗むのは、止めてるの?」 セラ「止めてるわ」 ハル「…でも私の鍵も、一の武器も、リリの荷物も。盗ってる」 セラ「だから試したのよ。鍵は挨拶みたいなモノじゃない」 嫌な挨拶だな、それ。
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