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ハルがあれこれ薬草を見て回ってる間、俺も少し見てみる事にした
一「一言で薬草って言っても、こんなに種類があるのか」
色々な薬草が並べられて、名札?の様なものが付いてはいるが、素人目から見れば、全て同じに見える。俺は野草とかキノコとか摘んで食べたらダメなタイプだな。そんな事をすると直ぐに死んでしまうだろう
ハル「…一」
一「ん?」
不意に名前を呼ばれ、ハルの方を向く
ハル「…これとこれ。どっちが良いかな?」
ハルの両手には薬草という名の草が持たれていた。すまないけど、俺から見たら雑草を両手に持ってる様にしか見えん
一「何で俺に聞いた?」
ハル「…一の意見も聞きたい」
そんな、服を買いに来たカップルみたいな事を異世界で。更には薬草でするとは夢にも思ってなかったぜ
一「いや、俺はそういう知識は全然無いぞ?」
ハル「…分かってる。一がいいと思う方を選んで欲しい」
いいと思う方って言われてもな……どっちも雑草にしか見えないんだよ……
一「…じゃあ………右?」
ハル「…流石、一。味より効力を求めるんだね」
一「え?」
ハル「…こっちは効果は薄いけど、初心者向けの味が出せる」
そう言って振ったのは左側だった
ハル「…それに対して、こっちは効果はあるけど、味が……って感じの上級者向け」
そう言って振ったのは右側
ハル「…とてつもなく苦いけど、一が選んでくれたからコッチを買おうと思う」
一「ハル」
ハル「…なに?」
一「左側が良いなぁ〜」
ハル「……ふふ」
ハルの野朗、俺で遊びやがったな……。顔を見せない様にしてるけど、肩が震えてるから笑ってるだろ、あれ
ハル「…因みに、効能は同じ」
一「やっぱり遊んでただろ!!!」
ハル「…ごめん」
一「それ認めてるからな!!?」
ハル「…やっぱり、一と居ると楽しい」
一「そりゃどうも!!」
そんなやりとりをしながら、薬草を買って店を出る。と言っても、ほぼ遊ばれてただけだが…
ハル「…ふふ」
一「随分とご機嫌だな」
ハル「…一と買い物。楽しい」
一「遊ばれてばかりだけどな」
ハル「…ごめん」
一「そんな笑顔で謝られたら、怒れないだろ……」
ハル「…」
ニッコニコだ、この子。たまに思うけど、ハルもまぁまぁなSだよな。人弄って遊んでるんだから…。…………セラには負けるけど
一「まぁ良いや。次はどこに行く気だ?」
ハル「…次は魔法具店………に…」
一「…??ハル??」
ハル「っ」
一「お、おい?」
グイッと引っ張られ、ハルが俺に隠れる様に位置をずらされる
一「…何かあったのか?」
ハル「……」
ハルの方に振り返ろうとすると、声をかけられる
「やっと見つけましたよ。お嬢様」
一「??」
お嬢様?俺が???どこからどう見ても好青年ですが??
「そんな薄汚い男の影に隠れていても無駄です」
薄汚い男…??……え?俺??
一「ちょっと、アンタ誰だ。人のこと急に薄汚い呼ばわりしやがって」
「薄汚い男に薄汚いと言って、何か問題でも??」
あ、うん。俺、こいつ嫌いだわ
「とにかく、そこから出てきて下さい。お嬢様」
さっきからお嬢様、お嬢様って…。誰を呼んで……ってハルしか居ないわな。この状況なら
「お嬢様!」
ハル「……」
一「知り合いか?」
ハル「…」
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