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「お嬢様!」
ハル「…」
観念したのか、俺の後ろから姿を見せる
一「知り合いなのか?」
ハル「…ん」
「お嬢様、さぁ帰りますよ。旦那様がお嬢様をお呼びです」
旦那!!?ハルって結婚してたのか!!?確かに結婚しているなら、心配しているだろう
ハル「…帰らない。私の帰るべき場所は、レグムだけ。行こう、一」
そう言って、俺を引っ張って歩こうとする
「お嬢様!!」
一「……」
俺は何かを言える立場では無い。ハルがそう言うなら…
ハル「…」
「……仕方ないですね」
後ろからそんな言葉が聞こえた瞬間、何かが俺の頬を掠める
一「っ!?」
一瞬の痛みと共に、頬を伝う温かい液体。直ぐに理解した。攻撃されたと
ハル「!?」
ハルも驚いていた
「旦那様には、どんな手を使ってでもお嬢様を連れ帰れと命令を受けています。お嬢様が帰らないと言うのならば、その男をここで消し、無理矢理にでもお嬢様を連れ帰らせていただきます」
そう言って、手のひらをコチラに向けてくる。奴は何も武器を持っていない。だとすればさっきのは…魔法?
一「な!!?」
何で俺!!?俺、何かしたか!!!?
ハル「……本当、やり方が汚い…。一」
一「なんだ?」
ハル「…先に行ってて。直ぐに追いかけるから」
一「何言って…」
「逃しませんよ」
一「なっ!?」
俺の足元に魔法陣が出現し、その魔法陣から鎖の様なものが出てきて俺を拘束
ハル「…やめて」
「言った筈です、どんな手を使ってもと。お嬢様が大人しく帰るのならば、これ以上は手を出しません。どうしますか?」
ハル「………」
一「ハル、行くなよ」
こんな事をする様な奴に付いて行けば、何されるか分かったものじゃない。これ以上暴れれば、大事になる。そうすればきっとセラやリリだって気がついて、ここに来てくれるはずだ
「10秒待ちます。それを過ぎると、攻撃します…。1…」
ハル「っ」
一「ハル!」
「…3…4…5……」
一「っくそ!」
鎖が巻き付いていて、体が動かせない!
「…8…9……」
ハル「…分かった」
一「ハル!!!」
「それで良いのです」
ハル「…だから、一の拘束を解いて」
「私が魔力供給が出来ないほど離れれば、勝手に拘束は解かれます。さぁ、コチラに」
ハル「……」
一「行くな!ハル!!」
ハル「…ごめん、一。私はここまで」
一「え…」
ハル「…一達との旅、楽しかった。一生忘れない程の、私の宝物」
一「何言って……」
まるで…もう会えないみたいな……
ハル「…セラに伝えて。後は頼んだよって」
一「ハル……」
ハル「…。バイバイ」
一「ハル!!おい!!ハル!!!!」
そう言って、ハルは攻撃してきた男と共に歩き出した。こっちを振り返りもせず
一「っっ!!!」
動け!俺の体!!何で鎖が巻き付いてるだけで動けなくなるんだ!!このままじゃ、ハルが!!!
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