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ハル「…これから先。多分、何年も私は帰ってこない。だからセラ、この家を」
セラ「言うと思ったわ。お断りよ」
ハルが全てを言う前に、セラはピシャリと言い切る
ハル「……」
セラ「私だって、暇じゃないの。アンタが居ないなら、この家に来る理由は無いわ」
ハル「…」
なんか……雰囲気が悪く…。空気が張り詰めたと言うか…重いというか
リリ「…」
セラ「ハル、アンタが決めたことに口出しするわけじゃ無いけれど。本当にコイツら信用出来るの?」
って!いきなり失礼だな!!
一「失礼だな!俺は、ハルもリリも信用してる!」
セラ「私はアンタに聞いてないわ」
一「ぅっ……」
睨まれる。怖ぇ…これが、蛇に睨まれた蛙ってやつか……
ハル「…一は大丈夫。信用出来る」
ハル……ありがとう。嬉しいよ…
セラ「ふぅん……」
チラッとコッチを見てくる蛇……あぁ、いや。セラ
一「?」
セラ「……アンタ今、失礼な事考えたでしょ」
一「なっ、何のことだ!!!!!?」
セラ「バレバレ、顔に書いてあるわ。で、ハル」
ハル「…なに?」
セラ「私はアンタの為を思って言っているの。こんなド素人に着いて行って、アンタに何の得があるって言うの?」
ド素人!!!!!?いや、その通りなんだけど!!言い過ぎじゃねぇ!!!!!?
一「ド素人って!!確かに戦闘はまだまだ素人だけど!」
セラ「戦闘だけじゃ無いわよ。気を抜きすぎだって、言ってんのよ」
ポイッと軽くセラが俺の足元に向けて何かを投げる、ってこれ………っっ!!
一「!!!」
バッと自分の腰の辺りを触る。いつの間に………いつの間に、俺から短剣を盗った!!!!!?
セラ「こんな奴の仲間になんかなったら、アンタに負担が全部行くのよ?少し頭を冷やしなさい」
ハル「…セラ、人の物を盗るのは悪いこと」
セラ「試したのよ。この男も、エルフも。どっちもヌケてるわ」
リリ「えぇ!!!!!?」
ババッとリリも自分の持ち物を確認する
セラ「もう返してるわよ。アンタに限っては、魂とも言うべき武器を、盗られているのに気が付かないなんて。私には信じられないわ」
ビシッと俺に指を指す
一「っ……」
セラ「武器が無いまま、外に出てみなさい。あっという間に死ぬわよ。それを守るハルの姿が目に浮かぶわ」
一「……」
反論……出来ねぇ…。実際、助けられちまってるし……
ハル「…一は、私の知らない事を沢山知っている。その知識が欲しい」
セラ「良くも悪くも変わってないわね、アンタ。なら言ってやるわ、こんな奴の知識なんか、たかが知れてるわ」
反論出来ねぇよ畜生!!!!ソロソロ、泣くぞこの野郎!
ハル「…そんなこと無い。「無知」は無限の可能性を秘めている」
ハルも何故か俺をディスり始めた!!!
一「ぅ……っ…ぐ…っ……」
畜生……目から水が、こぼれ落ちてるぜ…
リリ「一さんの心が瀕死状態です!!!!!?」
セラ「…もう一度言うわ。アレよ?アンタが仲間って呼んでいるのは」
とうとう、アレになってしまったか。うん……もう、アレでいいや………
ハル「…そう。アレはアレで、良い所がある」
セラ「アレの何処に、そんな所があるってのよ」
アレアレ言い過ぎじゃ無いでしょうか!!!もうやめて!とっくに豊成のライフはゼロよ!!
セラ「……」
ハル「…」
リリ「……」
一「…」
何この沈黙……え、俺が悪いの?ライフとか言ったから?
セラ「はぁ……じゃあ好きにすれば?」
ハル「…」
一「セラ…」
セラ「気安く名前を呼ばないで。ハルとは仲良しかも知れないけれど、私はアンタと仲良くした記憶は無いわ」
一「っ…」
リリ「セラさん……」
セラ「だから!!」
リリ「ありがとうございます」
……え?
セラ「…は?何言ってんのよ」
リリ「いえ、セラさんも。私がエルフと分かっていながら、普通にしてくれていたんだって分かりましたし、本当にハルさんの心配をされているのだな…と。それと、私達の心配も。盗られていたって事実に少し戸惑ってしまって、流してしまいましたので。お礼を、っと」
セラ「…っ。ふんっ、お礼を言われるような間柄じゃないわ」
一「あぁ、ツンデレ」
セラ「は?……ツン…デ?」
一「ハルとリリと、俺を心配して。俺の弱点っつーか甘い所を指摘して、リリには安心感を。ハルには激励って所か。」
セラ「なっ!!!!!?」
一「ふーん。良いツンデレだな!!」
セラ「っ……何の事か分からないけど、ろくでもない事を言っているって事だけは分かったわ」
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