第一章  君がいない街

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 俺の部屋はキーボードのナオトと一緒。ヤツは小学校が一緒で気心が知れているけれど、変わったヤツだから適当に相手している。  俺がなにやってもマイペースだし、何言ってもいったん自分のペースに入ったら関係ないヤツだから、ある意味、楽といえば楽だ。  ちなみに部屋割りはじゃんけんで決めた。一番勝ったヤツが一人部屋をもらえる。残念ながら俺はじゃんけんに負けたというわけだ。で、一人部屋はベースのシンタロウが勝ち取った。  ヨシアキとコータが同部屋。ファンタスティック・スノーの作詞・作曲担当が同部屋だから、あーだこーだと音楽談議に花を咲かせ、ふたりは毎日寝不足が続いているようだ。  荷物はそれほど多くない。というか、マンションが古いせいであまり持って来られない。今にも床が抜けそうで、せいぜい身の回りのものと着替え。  社長曰く、みすぼらしい部屋を与えてハングリー精神を養うため、なのだそうだ。ハングリー精神が鍛えられる前に、誰かが病気になりそうだ。
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