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「有沙ちゃんってさあ、めんこいよね」
「めんこい」
「心配だねカズキ。置いて来ちゃってるから。心配でしょ?」
「おまえ、同じこと何度も訊かないでくれる? それより、三時になったら起こして。バイト行くから」
「スマホ、セットしなよ。俺も昼寝するわ」
「あ、そ」
俺もナオトも、上京してすぐアルバイトをはじめた。事務所に所属したとはいえ、食べていけるわけもなく、生活費を稼ぐためにアルバイトは必須だ。
俺は駅前の蕎麦屋で、ナオトはコンビニでそれぞれ働き出した。ヨシアキはイタリアンレストラン、コータはラーメン屋、シンタロウはレンタルショップ。
みんなそれぞれ、バンド以外で働いている。正直、いつになったらデビュー出来るのか不安になるけれど、ナオトの言った通り、いまは前に進むしかないのだろう。
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