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出会い
味方なんていない。皆みんな敵なんだ。母さんも父さんも、…あいつらも、無事じゃないだろう…。俺一人だ、独りで生きてやる、絶対に…
霧矢町にて、
「…いい朝だねぇ、『アリア』。静かで落ち着いてるよ。君が好きそうな時間帯だね。でも君はもう返事をしてくれないね。もう何年経ったかな?それでも応えてくれるんじゃないかなって…聞いてるんじゃないかなって。ふふ…、君は面白い話が好きだったよね?」
「【竜舞‐リュウヤ‐】様。お食事をお運び致しましだが…?」
「ん、ああ…。そうだったね。紅茶は…」
「お望みでしたらおつけ致しますが」
「では、お願いしようかな。あ、砂糖はいいよ。」
「承りました、少々お待ちください。」
「お願いします。あと、できたら話し相手になってくれないかな?最近人と話してなくて少しムズムズしてね」
「ご要望とあらば。では、私から質問しても?」
「!…ああ、大歓迎さ。」
「では、…先程お話されていたのは誰なのですか?独り言にしては少し変だと思いまして…」
「ん?…ああ!この子に語りかけてたのさ。」
「ネックレス…ですか?」
「中には『アリアネット』という名の人形の写真が入っててね…形見みたいな物なのさ」
「なるほど…。美しい方ですね。」
「だろう?自慢できる程の人形さんさ。ふふ。でも…壊されてしまってね。あの子のいた証はこれしかないのさ。」
「そ、それは…申し訳ございません…!」
「いやいや、いいのいいの、気にしないでって。あ、紅茶ありがとう。」
「はい…。あ…そろそろ、仕事に戻ります。」
「あ、そっか…。僕も今日は出るつもりなんだ。」
「そ、そうなのですか。お気をつけて。」
「うん、1日ありがと。」
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