一生うらむぞひかりさん

4/10
前へ
/10ページ
次へ
尋問にのぞむ刑事って、こんな気持ちなのかもしれない。 これはまったくの想像だけれども。 注文は別々のレジでして、私は先に席をとっている。 膝の上に置いたバッグの中には、ダンボールから無理やりはがした伝票とあの手紙。 タオルはかさばるから1枚だけ。 「ごめん、こんな時間だから」 センパイはハンバーガー2個とおっきいポテト、それと一番大きいサイズのドリンクを買ってきた。 中身はコーラかな、センパイ好きだもんね。 かわいいな。 私は一番小さいサイズのお茶を選んだ。 正直、食欲なんてわかないから。 周りは自主勉している学生や家族連れで賑わっている。 充満するハンバーガーの香りを不快に感じる。 早く終わらせたい。 センパイとふたりきりなのに、こんなにも嬉しくない。 「さっき連絡した『贈り物』のことなんですけど」 「うん」 私はすっかり怒った声、センパイは少し困った顔だ。 ああこれ、顧問に無理難題いわれてる時の顔! 眉尻垂れて、子犬っぽくてすごく好き! ……なんて雑念を振り払って、私は手紙をカバンから出す。 「この手紙! ここ! センパイ関係ありますか!?」 指をさした先は、手書きの手紙の3枚目の一番最後。 矢眞本将 矢眞本ひかり 矢眞本さくら     
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加