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そいつの父が転勤ということで、名古屋に引っ越すということになったらしい。
何気なく聞いた話だったため、嘘だとは思わなかったものの、実際にそうなるとは思わなかった。
だから、再度、その話をそいつから聞いたときは、驚いた。
もう、引っ越す予定の日を決めたと言ったから。
「いや、忘れ物してね」
ははっ、と学校に遅刻したことに対して、笑って言い訳を言うそいつに、私は、いつの間に決まったの?なんて、聞くのは、どこの夫婦だよ、みたいなことを頭の中で想像しながら、そいつの転校について考える。
こういうことも、やっぱり、そいつに言うことは出来ないのだけれど、そいつが、学校からいなくなった時、自分が何をしているのか、想像ができない。
他にも、仲間がいるし、話さないやつばかりというわけではないけれど、少しばかり、寂しくも思った。
帰り、私は、コンビニに寄った。
「こんにちは、小林さん」
そこにいたのは、そいつの父だった。私は、すぐに分かったので、そのまま、返事を返す。
「こんにちは」
「何か、探し物?」
私は頷いた。ふと、思ったことがあったので、コンビニに来ていた。
「手伝おうかい?」
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