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彼は、私に言ったが、私はその提案を断った。自分で探すことに価値があると、そう思った以上の理由など、私に存在するはずもなかった。 そう言うと、彼は、私と軽く挨拶をし、コンビニを出ていった。そういえば、そいつの父はコンビニを出ていくとき、パジャマみたいなものを買っているように見えた。 私は、欲しかったものを買うと、そのまま、コンビニを出て帰宅する。 家は、いつも通りだった。整然と並べられた教科書に、窓に並ぶように置かれた机から反射した光は、そのまま目に入射する。眩しいと思い、目を細めて、部屋の中に入る。 そういえば、コンビニで気づかなかったけれど、そいつは、父が転勤するから、引っ越すと言っていた。ということは、先ほどコンビニで会った彼が転勤するということである。 日付を聞いたとき、私は、教室にあるカレンダーを見た。今日が何日か、忘れたわけでもなかったし、計算すれば、あと、何日後なんて、すぐに分かることだったけれど、それは、どちらかというと、無意識下というか、条件反射的に、私はそれを見た。 一週間後、やっぱりと言えば、やっぱりだし、もう、そんな日か、ふとそう思った。だから、何かが、コンビニで引っ掛かっていたのだ。     
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