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転勤する本人が、一週間前に、こんな余裕そうな、ましてや、コンビニに立ち寄り、パジャマを買うなんて発想出るのだろうかと。
「住所はそれでいいの?」
「うん」
案外、私の方がテンション低めであるかのように思っていたけれど、そいつの方が、少し、いやかなり寂しそうに見えた。
一週間という単語は、7日も過ぎれば、消えてしまうもので、「あっ」と言う間にってほどではないにしても、時間は短く思った。
「手紙とか、たまに出すよ」
「たまにじゃなくて、『まめ』でも良いんだけど」
私は、少し笑ったのだけど、そいつの表情は変わらないように思えた。
よほど、寂しいのだろう。私は、そう推察しても良かった。
「引っ越したくない」
そう言ったのだから、やはり、違和感を覚えないわけがない。
だけれど、これでは霧を掴んでいるのと、同じような状況で、何かを繋げるピースがない。知らないことは聞き出せない。そう思いながら、口だけは八丁になる。
「こっちとしても、引っ越すのは、あまり嬉しくない話だな」
心配しなければならないとしても、文章が思い浮かばないのでは、仕方ない。
私は、そのまま涙を浮かべ、車に乗ったそいつに、ただただ、手を振る他、無かった。
「本日のニュースです」
この時間、テレビはニュースらしい。ただただ、電源を付けていただけのテレビに関心はない。
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