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「お元気にしてますか?」 そいつが、していないことは無いだろうと思いつつ、文頭の言葉が出ず、定型の文章をネットで検索する。どこか、自分らしさが出ていないのが、嫌なところだけれど、冒頭だから、構わない。 「学校は、いつも通りに、時間が過ぎています。なんでしょう。君がいなくなってから、もっと変わるものかと思ったけど、そういうものじゃないらしい」 お前なんて、いなくても変わらない。そんな文章、転校してしまった相手に送るものだろうか、と少し首を傾げる。 「だけれど、やはり、私としては寂しい。話し合い手が一人減るっていうのは、それなりに、時間も余るし、何をしていればいいのか、分からない」 「先日、小学三年生の男児が自殺を図った事件について、教育委員会は…」 「いや、まあ、学校って、本来、勉強するところだし、おしゃべりをする場でないことは分かっているつもりなんだけどね」 「…病院に入院していた女児の脳死判定がされたと、発表されました」 「そっちは、今、どうしてる?転校した先の学校は楽しい?」 「被害者遺族の会はこれを断固として拒否し、署名活動を行いました」 「きっと、そっちのことだから、友達も百人ぐらいいるのかな?それは多すぎだろうけど」     
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