「竹取の」第2夜<既朔>

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 ママは陽気にそう言って、また居間に引っ込んだ。今朝はベーコンかな。香ばしいにおいがした。  階段を上がりながら濡れた前髪を拭いた。  わたしの家はいわゆるオーソドックスな日本の一般家庭。サラリーマンのパパとOL兼業主婦のママとわたしの3人暮らし。パパは自動車販売の営業マンで、ママは近くのスーパーでパートだけれど、マネージャーを任されている。わたしは今年3年生になったばかりの高校生。身長158センチ、背の順だと丁度真ん中くらいで、勉強も中の中。英語がちょっと得意なくらい。得意って言ったって、学年で上位に入ったことはない。高校も地元では中レベル。1年、2年の成績も「3」が綺麗に並ぶくらい中程度。引っ込み思案ではないけれど、特に社交的ってわけでもない。容姿だって、お世辞にも美人とは言えないけど、ブスと言われた記憶はない。極端に太ってはいないと思うのだけれど、二の腕と太ももがちょっと気になる程度にはスレンダーとは言えない。中学まで三つ編みにしていた髪の毛も、高校に入ってからはロングボブにした。中学の頃から視力が下がってきたから 眼鏡を勧められて、でもなんとか裸眼で頑張ってみたんだけど、ついに去年から両親から強制的に眼鏡を与えられた。     
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