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「竹取の」第2夜<既朔>
朝目が覚めると朝日がカーテンの隙間から差し込んでいた。わたしはベッドから起き上がるとそっと窓に近づいて、恐る恐るカーテンを開いてみた。はたしてそこには昨日の奇妙な生き物はもういなかった。
夢だったのかな。……に、してもリアルな夢だったなぁ。とても幸福な夢とは言えない。
時計を見るとまだ6時前だった。昨日半端に終わらせた、単語チェックの続きをしよう。にしても、昨夜のあれは何だったのだろう。夢にしてはリアルすぎるし、わたしにその手の創作能力があるとは到底思えない。特にSF好きって訳じゃないし、発想力だってある方じゃないし。
翻ってあれが現実だったとしたら、ファンタジーすぎる。月面人とか言ってたような気がするけれど、つまり宇宙人ってこと? あり得ない。わたしは妄想を一蹴して、単語帳を開いた。
けれど、なかなか集中することができなかった。どうしてもあの生物の姿が脳裏から離れない。わたしは頭を掻いた。
「顔洗ってこよう」
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