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横須賀線のホームに移動すると、ちょうど新逗子行きの電車がやってきた。
正直なところ、新逗子に行くには何行きに乗ればいいのかわかっていなかったので、新逗子行きが来て心からホッとした。
「これに乗るの?」
という理沙の言葉に、僕は頷く。
横須賀線に乗り、空いている席に二人で並んで座った。
「陽くんは、どこへでも行けるんだね」
理沙のその言葉の意味が僕にはわからなかった。
「早く大人になりたいね」
理沙が言った。
「大人に?」
「うん。そしたら、好きなところに一人で行ける。どこに住むかも自分で決められて、服も靴も何でも買えるんだよ」
「好きな時間にゲームとかできるのはいいなー。美月姉ちゃんも『一人暮らししたい』っていつも言ってる」
美月姉ちゃんの真似をすると、理沙は笑った。
話しているうちに、理沙は眠くなってきたらしく、目が閉じたり開いたりを繰り返しすようになった。何度か首がガクッと落ちたりしたかと思うと、うつむき加減で眠ってしまった。
話し相手を失った僕は、しばらく流れる景色を眺めていた。
次第に僕もねむくなってきて、僕もまた眠ってしまった。
次に目が覚めたときは、新逗子駅だった。
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