紫紺の山

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十二月に入るとテツにも甘露様に奉納されたモノだけで作られた食事をとる。 そうやって禁忌の日に山に入る者は身体を清める。 比布女は甘露様の裏の湧水で、毎日身体を清める。 冷たい湧水は佐奈の身体に掛けられると直ぐに湯気を立ち上らせた。 その湯気を村人は身体から邪気が抜けて行くと考えているようで、村の女たちに囲まれて裸の佐奈は何度もその冷たい水を肩から掛けていた。 その水垢離は山に入る前日まで続く。
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