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ぐいぐい第2弾 『乾いた日常』
※※
=ε=ヽ( ゚Д゚)ノ ★
よく晴れた冬の朝。
日本を代表する自動車メーカー「TATUDA」の看板を背負って立つカーディーラー。
ガラス張りの店内には、現在の稼ぎ頭とも言える車がピカピカに磨かれて飾ってある。
店の前の掃除は、毎日丁寧に細かくやる。それが、店長の方針だ。
小日向ヒカルは、ホウキとチリトリを持ち、隣のマンション前まで言われた通りに丁寧に隅から隅まで掃除する。
『ご近所様には親切、丁寧、常に笑顔』で接すること。これも店長の方針。
屈めていた腰が痛くなり、背筋を少しだけ伸ばしたヒカルの前に突然出没した男がいた。
ブラックのハーフコートにグレーのマフラーを巻いた……少し、いやかなりスカした男だ。
スカしたというからには、多少なりとも理由がある。
まず男は、前髪を上げてムースか何かでカチッと固めている。顔は、まあまあイケてる方だろうと思える。なんせ、最近テレビでよく見るイケメン芸能人に似ていなくもないから。
自然と上がっている口角が男の自信の現れだと見てとれた。
男は両手をコートのポケットに入れて、まだ突っ立っている。
「申し訳ございません」
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