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「あの、私は営業事務でして……」
改めて担当の人を呼ぼうとしていた。
だが、男は上げた口角を元に戻した。
「小日向さんは、ひょっとしてお茶くみな訳?」
ヒカルは、どきっとしていた。
ーーー確かに、お茶くみはしている。
「小日向さん、見たところ…………」
男は無遠慮にも視線をヒカルの全身に泳がせた。
そして、半笑いしながら
「20代後半くらいだよね?」と、ヒカルに確認してきたのだ。
ーーー確かに、29だ。ギリギリでの20代後半。
多少、頭に来たが事実は曲げられない。しかし、年相応に見える容姿というのもどうかなぁと思えた。
ーーーやっぱり、なんだかんだ言っても若く見える方が女は得よね。
そう思うと、がっがりしてしまう。
男は、更にバケツの水を全部ぶっかけるような言葉を浴びせてきた。
「その歳で……お茶くみ?」
やはり、男は馬鹿にしたように薄ら笑いを浮かべた。
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