2.マイ・ファニィ・ヴァレンタイン

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 電話口で、俺は、切迫した雰囲気を装って、「やばいんだよ。」と言った。  「どうしたの?」と美里。  「バレたんだよ、カミさんに。」  「えーっ!」  「写真撮られた。それで、今から会えないか?」  「えっ、会わない方がいいんじゃないの? いろいろ不味いんじゃないの?」  「いろいろって?」  「裁判とか。」  「おいおい、まだ離婚するって決まったわけじゃないぜ。」  「そ、そうよね。ごめんなさい。」  美里は、こちらのツッコミに少なからず動揺したようだった。今日は、この辺にしておいてやろう。
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