送り狼洪水

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送り狼洪水

 大森はヨダレをダラダラ垂らした送り狼さながらだ。女が大好きで仕方ない。  片耳のない犬が現れた。  近くにやって来ていた川越美月はすっ転んだ。「バカ犬!死んでしまえ!」  犬は美月を喰い殺した。  吉高を助ける為に死ぬわけにはいかない!僕は交番で奪ったニューナンブをショルダーホルスターから抜いて犬の足元にぶっ放した。   バンッ!キャンッ!  血が吹き出るが犬は果敢に立ち向かってきた。  テンガロンの村山が、「おまえデカだったのか?」とキョドる。  大森が、「保健所の非正規じゃねぇのか?」と首を傾げた。  村山は土下座して命乞いをした。 「助けてくれ!心を入れ替える!大森、オマエももう大人だろ?改心しろよ!」  犬はそれ以上村山を襲うことはなかった。  バンッ!バンッ!  牝犬と交尾してるところを撃ち殺してやった。  数日後、僕は井川を田川に釣りに誘った。  暗雲が立ち込めて雨が降り出して黒く濁った水に井川は飲み込まれていった。 「男と男の約束だ」  大森は吉高を返してくれた。
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