悲正規社員 柴犬を殺すと非正規心なくなる

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悲正規社員 柴犬を殺すと非正規心なくなる

 非正規社員は冷たくなくちゃダメだ。   心を持つと悲正規社員になってしまう。ある奴が柴犬を殺した。  ギャグみたいな魔法だ。  飯島ってトヨタで働いてる派遣は野良猫を拾って餌を上げたら心筋梗塞で死んでしまった。   真鶴健幸は猫の額ほどの土地にやって来た。小舟が一艘、さざなみを立てながら視界の外へ消えていった。  健幸は瞳をクルクルさせ、溜息を漏らした。人を殺すのは緊張する。  健幸は城島水産に派遣されている。  百貨店で働いている真島は自殺してしまった。紳士服売り場って閑散していた。ビルとビルの隙間にホームレスが寝込んでいる。  健幸はホームレスを蹴り飛ばした。  ホームレスは千円札を渡してきた。  ホームレスは元は商社の営業課長だ。  石油化学プラント輸出の情報が安島綱吉に流れてしまった。  安島綱吉は『動物愛護団体』を自称するテロリストだ。  健幸はサングラスタイプのカメラを所持していた。イヤホンが内蔵され、iPodのボタンで撮影できる。誰もカメラだとは思わない。  健幸はホームレスを撮影した。    陣内蒼汰はパソコンをイジっていた。  写真が送られてきた。  本宮淳史で間違いない。  売国奴は死んで当然だ。  蒼汰は健幸に殺害するよう連絡した。    健幸はホームレスをピストルで撃ち殺した。暴力より殺人の方が報酬もでかい。屍に小便をぶっかけてやった。  女からモテるようになった。  猿みたいな顔だからコンプレックスを持っていた。  
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