1人が本棚に入れています
本棚に追加
非正規ドクター・豊嶋架純 秋田犬落雷
豊嶋架純は松本が不審死したことに怯えていた。
てんかんの新薬で患者をモルモットにしたり、輸血ミスで妊婦が大量出血で死んだり、心臓疾患で入院していた女児に抗生物質を誤って投与し足を壊死させたり、非正規ドクターじゃなかったらとっくの昔に逮捕されている。
患者たちの呪いじゃないかしら?
新白河に出かけた。駅ナカにあるラーメン屋で夕食、塩ラーメンとレモンサワーがバッチグー!駅から少し歩くと古本屋があった。
店の前で秋田犬が頭から血を流して死んでいる。新白河から列車に乗って白河駅にやって来た。真冬の白河もいいもんだ。ライトアップされた小峰城がノスタルジックだ。ハリストス正教会の前にやってきた。とても美しい建物だ。
あまりにも寒いのでコンビニでネックウォーマーを買った。柿ピーとレモンサワーを買ってビジネスホテルで飲んだ。
テレビでゆるキャラたちが競争している。茨城の黄門様が買った。
翌朝、朝風呂に入っていると女の子がパシャパシャお湯をかけてきたので蹴り飛ばしてやった。これ以上、松本みたいな犠牲者を出さない為には痛みが必要だ。この前も喘息の少女に飴玉をもらったのでうっかり頭を撫でてしまった。
非正規は他人に優しくしてはいけない。朝食はバイキングだ。久々に納豆を食べたら美味かった。食後のコーヒーは格別だ。列車に乗り二本松へ出かけた。
二本松少年隊や高村智恵子、安達原の鬼婆などの伝説が残っている。霞城までは急な坂道だった。少年隊の像のところに秋田犬の死骸があった。腹を掻っ捌かれ、内臓が飛び出ていた。
アカマツの陰に誰かがいる。
この辺には大昔、製糸工場があったようだ。コンビニでコーヒーを買って店先で飲んでいると青年が近づいてきた。
手には血にまみれたナイフを手にしていた。
「秋田犬を殺したのはおまえか?」
背後からスーツの中年男性が声をかけてきた。突然、暗雲が立ち込め稲妻が落ちてきて中年が感電死した。
「あと1人、誰にしよっかな?」
青年は不気味に笑ってスクーターに乗ってどこかへと消えた。
最初のコメントを投稿しよう!