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「ここの世界には、神々の魔法によって世界ごとに見えない壁がある。つまり神々が自分が生み出した世界ごとにしか大陸同士は繋がらないし、別世界の人との交流も存在しない」
「な、なるほど……?」
何となく分かるような分からない状態に、首を傾げつつも頭の中を整理させる。
そんな私の前にカリントゥ村長が飲み物を持ってきてくれた。
「ここの村はのう、この村しかこの世界に存在していない世界なのじゃよ。だから、別の種族との関わりは一切ないんじゃ。別の種族が存在していないからのう」
「……!だから、世界の均衡が崩れるんだ!」
導き出された点と点がようやく線になって繋がっていき、一気に頭の中がスッキリしていく。
そのお陰で、ギルドでヴェルギールさんが言っていた世界の均衡が崩れるという言葉に納得する。
つまり、本来だったら交わることのない世界と世界がマンシュくんの行動によって繋がってしまったことにより、有り得ないことが世界同士で起こっているのだ。
「理解が早いな、リカ。繋がりのない世界同士が繋がってしまうことは、神々にも対応できないことになってしまう。そんな中俺たちは唯一、どの世界でも移動できる力を持つ。その力を持って、神々が作る世界を守り、寄り良いものにして転生者によって統制していく、っていうこと」
「だから、私達の会社の存在は他の人に教えちゃいけないんだね」
「そう。一応世界を旅する商人と名乗ってはいるけれど、知られた場合世界同士の争いが起こる原因になるかもしれないからな。影で支えるしか手段がないんだ」
「そう考えると神々の持つ力と言うのは、凄いものじゃのう。無限に広がる世界、それを創造していっているのじゃから」
カリントゥ村長の言葉に頷きながら、出された飲み物の香りを楽しんでから一口啜った。
甘酸っぱいスッキリとした飲み物に、スーッと頭が解されていく。
まだまだ魔法という難しいものに首を傾げることにはなりそうだが、今回のモヤモヤに関してはスッキリすることができた。
異世界は私が住んでいた地球という星とは、比べ物にならない位大きな世界で、その世界の仕組みを守る会社の一員である自分に驚きを隠せない。
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