家族の想い愛…!なんちゃって。

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アルバルトさんったら……こんなすごい会社なのに地域密着型とかいってたけど世界規模じゃないですか。 世界の規模も私が持っていた常識を遥かに超えてきたけれど。 一つの世界が複数も存在するなんて聞いてないよ。 あの人の話を聞く時は詳しく突っ込む体制で挑もう……。 「リカの頭の整理が終わったみたいだし、元の話を続けようか」 キサギが本題に戻すように話を切り替え、私も自分のこの世界の勉強を一先ず中断させた。 「ポーション作りの話に戻すよ、村長。カシカの実をこちらに売ってもらい、集めた資金で材料を揃える。そして出来上がったポーションについては、今後も提供できるようにしたいと考えているんだ」 「提供となると……今回に限らず継続してカシカの実を売るという形でいいのかのう?」 「ああ。そうした方がいざって時にまたこちらに言ってもらえればこの村に物資が届けられるだろ?それに、畑も開拓していけばより効率よく資金が集められる。もちろん、会社にも売上の二割納めて貰えたらと思う」 「わしらには金というものでの争いはないからな。それで村も潤い、民が健やかに生きていけるというならばもちろん承諾しよう」 「じゃあ交渉成立だな!」 そう言ってキサギは指をパチンと鳴らすと、カリントゥ村長とキサギの間に幾何学的な模様が描かれた円が出てくると、その円から一枚の紙が現れた。 マジックでも見ているような、不思議なこの光景に私は思わず口を開けて見つめていた。 「汝、創造者たる神に契約の契りを交わす者。契約の誓いを今、ここに」 「我が名はカリントゥ=シュグレイド。また真の名をカリンスエド・トゥシュ・グレイド。ここに誓いを交わす儀を行うもの。この命ある限り神に忠誠を誓い、村が健やかに生きていくための手段を選ばんとする」 「では、その身の源を捧げよ」 難しい言葉が二人の口からスラスラと出てくるものだから、人格変わっちゃったんじゃないかと思いながらじっと二人を交互に視線を送った。
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