家族の想い愛…!なんちゃって。

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カリントゥ村長がその紙に手を翳すと指先から光が放ち、その光は紙に吸い込まれていく。 光が全て吸い取られると、一瞬紙光輝いたかと思えば静かに消えていく。 そして浮かび上がっていた円も消え、カリントゥ村長もゆっくりと手を下ろした。 終わった……のだろうか、この微妙な空気の中私から動き出すのは勇気がいる。 そう思っていたが、もそもそとカリントゥ村長が動き出し飲み物を啜り始めた。 「ふぉっふぉっ。リカ殿、そう緊張しなくても大丈夫じゃよ」 「これにて契約終了。リカお疲れ様」 キサギも私に笑いかけてきてくれて、元の二人がここにいると思うと安堵のため息をついた。 いくつになろうと初めて見ること、やることには緊張がついてくるのを忘れてはいけないものだ。 これでとりあえずの事は丸く収まったことだし、後は……色々勉強しなきゃな。 「今日の所はこれにて終了としよう。急な訪問だったのに色々と迷惑かけてすまなかったな、村長」 「いやいや。こちらこそマンシュの行いでこんな自体を引き起こしてしまって申し訳ない。これからはキナのためにわしも全力を尽くすつもりじゃ」 優しく笑う村長に、なんだか心がほっこりする。 これでマンシュくんの願いも叶って、キナちゃんの病気も治って、カリントゥ村長の想いも伝わるはずだ。 美味しい飲み物を飲み干し、カリントゥ村長と村の人に別れを告げて私とキサギは会社のある街へと戻るため元きた道を歩き出す。 マンシュくんが付けて歩いた道が、とても綺麗にキラキラと輝いてこの村の未来を明るくしているように見えたのだった。
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