家族の想い愛…!なんちゃって。

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最初は、これは案外上手くいくのでは?などと勝手に思い上がって進めていくがそう簡単には上手くいくわけもなく。 出来上がったのは、絶対に人に害を与えるものが誕生してしまった。 その後も慎重に混ぜ合わせていくが、魔力の結晶化が上手くできず全身に静電気のようなものがバチリと走った。 するとボンッと黒い煙を上げた薬草は、見る見る焦げていき青々としていた器の中は黒い塊があるだけになっていた。 異臭を放つそれは、肺をいじめてきて咳き込むしかない。 「はあーん!また失敗したあ!!」 「リカ殿〜!あまり目を擦っちゃダメニャ!」 「ゴホッゴホッ!」 外でやっていて正解だったと、目を涙目にさせながら器に蓋をして煙と異臭を閉じ込める。 キサギもコテツもこれは参ったというように、口に手を当てて息を吸わないように頑張っている。 「ど、ドンマイだ!リカ!」 「次はきっと成功するニャ!」 「はあ……ありがとう」 二人の優しい声掛けに救われるが、難しいこの作業に骨が折れそうだ。 化学ではなく魔法で薬を作るというこの作業が、私には未知すぎてこれ以上はもうどうしようもなくなってきた。 そもそも薬も作った経験があるわけない。 でもここでネガティブ思考になっていたら、いつまで経っても完成するわけない。 このポーションが必要であるキナちゃんに届けるために、私はやるべきことをやらなきゃいけないのだ。
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