家族の想い愛…!なんちゃって。

39/53
前へ
/340ページ
次へ
その日は上手くいかず、買ってきた材料も底を尽き終了となった。 次の日から私はポーション作りに没頭することとなる。 午前中は街の一角でカシカの実を売り捌き、収入で材料を買っては中庭で日が暮れるまでポーションを作り続けた。 街の薬屋に行っては調号のこつを教えてもらうけれど、中々魔力操作は上手くいかない。 真っ黒になった薬草を勿体ないと思いながらも、ゴミ箱に捨てる日々。 晴れの日はいつものように調号に奮闘し、雨で中庭が使えない日は魔力そのものの勉強をキサギにマンツーマンで教えてもらった。 キサギは別の仕事がある日は私は一人会社の中庭で、ポーション作りに明け暮れていったのだった。 「リカ殿〜休憩時間だニャ〜」 ポーション作りを始めてから早一週間が過ぎた頃、異臭にも鼻が慣れてきて失敗して煙を吸っても何とも起こらなくなった。 コテツに呼ばれて寮へと戻ると、明らかに美味しそうな甘い香りが鼻を擽る。 鼻が馬鹿になってはいるけれど、美味しいものには特別磨きがかかって美味しそうに香ってくるようになった。 「わあ!美味しそうなフィルル!」 マドレーヌのような味と香りがする焼き菓子のフィルルは、休憩時間のお気に入りのお菓子。 コテツは淹れたての紅茶と共に準備してくれ、私は疲れを癒すようにして美味しく頂いた。
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

266人が本棚に入れています
本棚に追加