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休憩の時は作業のことを忘れるようにとキサギには言われてはいるが、私は休憩時間もカリントゥ村長から借りた本を読んでいた。
マンシュくんのお父さんが遺した大切な本だから、汚さぬように注意を払って。
綺麗な文字は線の引かれていない紙に、真っ直ぐに書かれている。
きっと真面目な方だったんだろうな、なんて思いながらふと一ページだけ紙質が違うことに気づいてページを捲る手を止めた。
そこには他のページとは違った柔らかい文字で綴られている。
『もしもこの願いが叶うなら、もう一度家族に会いたい。
この想いはきっと最高の魔法になる』
そう綴られた後に、幼い子供が描いた似顔絵が貼り付けられていた。
マンシュくんがきっとお父さんを描いたのだろう。
幸せそうに笑うお父さんの似顔絵は、きっとお父さんの力の糧になったに違いない。
「……家族にもう一度会いたい、最高の……魔法」
書かれた文字をそう呟きながら、私はブレイヤー村の人々のこと、そしてカリントゥ村長、マンシュくん、キナちゃん。
そっと目を閉じて、皆の幸せを願った。
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