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そうして私は鞄の中から、割れないように包装したポーションの瓶を取り出して、飲みやすいように器に注いで手渡した。
自分で起き上がれないらしく、マンシュくんが手馴れた手つきでポーションを飲ませた。
キラキラと耀くポーションの光が、キナちゃんの瞳の中へと吸い込まれていく。
ゆっくりと口付けて飲み込んでいく姿を、私は緊張しながらも見守った。
全て飲み干し息を吐いたキナちゃんは、マンシュくんを見つめた。
すると驚くことにあれ程痩せ細っていた体は、健康的な肉付きになっていき顔色もみるみる良くなっていった。
起き上がることも困難だった体だったのに、自分の力でゆっくりと起き上がった。
「お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!」
「キ、キナ?!」
いきなりマンシュくんに抱きついたキナちゃんは嬉しそうにしながら、頬を擦りつけている。
「奇跡じゃっ……ああ!キナ!!」
カリントゥ村長も、二人の元へと駆け寄り力強く二人を抱きしめて涙を流していた。
幸せそうな三人の顔を見て、私も思わず一粒涙を流した。
「やったな。リカ」
「うん。本当に……本当に良かった」
優しくキサギが肩を叩いてくれてその優しさに支えられながら、私は三人に向かって笑顔を見せた。
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