株式会社 異世界転生スローライフ

本日、死にました。

会社で働かないかって、ここをどこだと思ってこの人は言っているんだろうか。

私は元の世界で死んで神様が言う、神々の領域という場所にいるというのに、会社絡みの方がここにいるっておかしくない？

この状況からいくと、神様の力でどーんと一発何かお見舞いしてっていう方向を考えていたけど……神様にはさっきまでの威厳たる態度がなくなっている。

握られた手をどうしていいのか分からず、ダンディーな男性と交互に見ていると、握られた手に力が込められる。

「リカさん」

「は、はい」

なんで名前を把握しているのかという疑問すらも与える余裕すらなく、ダンディーな男性は食らいついてくるように話しかけてくる。

「君の企業で働きたいという想いはしっかりと伝わった。こんなに働きたいという気持ちの強いがある異世界転生者には初めて出会った。そこでそんな君を見込んでお願いがあるんだ」

「何でしょうか……」

「君をここ、株式会社 異世界転生スローライフで務めて頂きたい」

株式会社 異世界転生スローライフ？？？

思わず声に出てしまいそうになるのを我慢して、首を傾げた。

そんな私を見てダンディーな男性はにっこり笑い握っていた私の手を自由にしたかと思うと、指でパチンと高い音を鳴らす。