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その奥にある大きな窓から見える景色に、元いた世界とは違うということを目の当たりにする。
「嘘……」
大きな白いドラゴンが空を駆け巡るように飛び交う光景を口を開けて眺めていると、アルバルトさんはもう一つ奥の部屋の扉を開けて誰かを呼んでいた。
その声を耳に入れつつも、私はゆっくりと窓に近づき窓の縁に手を触れた。
本当に死んで私は別の世界にいるというこの現実を、私は受け止めざるを得ない。
こんなに非現実的なのに、心を鷲掴みにされる光景を見れるなんて私はもしかしたらついているのかもしれない。
そんなことを考えていると、アルバルトさんが私の名前を呼んだ。
「その景色はお気に召したかい?」
「はい、とっても」
「それは良かった。どうぞ楽にして」
そう言って私を座るように促してきて、渋々ソファに腰掛けることにした。
ゆっくりと腰を下ろすと豪華なソファに似合うそのふかふか加減に、思わず興奮した声が出そうになるがぐっと堪える。
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