本日、死にました。

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ようやく頭も追いついて、その情報をせっせと処理してくれているからこの先の話もきっと理解できるはずだ。 そう思ってアルバルトさんの話に耳を傾けた。  「この世界はリカさんが生活してきた世界とは違う、それはもう理解できたかい?」 「はい。頭は着いてきています」 「良かった。では……まずこの世界について説明しよう。この世界はリカさんが暮らしてきた科学が発達した世界とは異なり、魔法というものが発展してできた世界。そしてその世界を産み出しているのが、先程会った神と呼ばれる者達だ」 神様、存在そのものはあまり信じていなっかたが何かと私達の生活の中で割りと近しい存在だったのかもしれないと改めて思った。 お正月になれば神社にお参りにも行くし、何か叶えたい事や願いたい事があれば祈りを捧げにも行く。 しかしそんな存在が世界の創造者ということはあまり考えたこともなく、この世の始まりなんて誰も知りもしないと思っていた。 「私達のこの命も、元を辿れば神々が産み出した産物なんだ。命が終われば神の元へと還って来る。そうして新しい命を産み出す……それが輪廻が廻る理由だ」 「元の場所へ帰るということですか?」 「うーん、産みの親となる神の元へ還るということでもないんだ、でも還ることもある」 複雑な話になりそうだと思うと自然に眉間にしわを寄せる。 それを見たアルバルトさんの隣に立つ人形のような綺麗な女性が、そっとアルバルトさんの肩を叩いた。 「社長、そういう難しい話は経験を重ねていくうえで説明するのでは?」 「ああ、そうだった。ややこしい話になると全て話すのに1ヶ月はかかる」 1ヶ月という言葉に血の気が引きそうになるが、その前にしっかりとアルバルトさんが引き止めてくれた。 「大丈夫、そんな難しい話は一切するつもりはないんだ、すまないね」 笑顔を見せて安心させるように私を見つめる。
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