本日、死にました。

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だったら、平凡に農作業でもして生きてく上で必要最低限のものが揃っている場でのんびり暮らすのでも悪くない。 知識はないけれど、周りで暮らす人に力を貸してもらいながら私なりの生活をしていけばいい。 要望は叶えられないなら変更させて下さい、そう言おうと思い顔を上げた。 しかし、今度は逆にアルバルトさんが頭を下げていた。 どういう状況になってしまっているのか検討もつかずにいると、アルバルトさんがはっきりと告げる。 「もし、リカさんが働きたいというのならばうちで働いてほしい。リカさんのような存在はきっとこの会社にはないものを与えてくれると思うんだ。リカさんの思い描くような企業ではないかもしれないが、リカさんのような人を手放したくない」 「え、え??」 いきなりのことに困惑していると、今度はアルバルトさんがガバッと頭を上げ顔を赤らめながらお願いします!と片手を差し出してきた。 横に控えていた女性も、綺麗にお辞儀して私の返答を待っている。 まさか、こんな場所で企業……と言っていいのかわからないけど、企業側に推薦枠のようなものを用意してもらえているとは。 この先の未来、この人達に預けてみるのもありかもしれない。 そう思ってアルバルトさんの手を取ろうと手を伸ばす。
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