本日、死にました。

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だが、寸前の所で私は動きを止めた。 どんな企業なのか、給料、休暇等々のことを一切聞いていない状態で全てを承諾するのはリスクがありすぎる。 ここではいい顔していて、後々ブラックだよお〜辞めるなんてことできねぇからなあ??と豹変して人生ドブに捨てるようなことはできない。 もう一度座り直し、私はアルバルトさんに詳しい説明を求める。 「あの、この会社の仕事内容とか説明してもらってもいいですか?」 私のその言葉にアルバルトさんは、はっとして慌てて頭を上げた。 表情からして、本当に説明を忘れていたらしい。 慌てるアルバルトさんに小さく笑うと、綺麗な女性も呆れたような表情をしてアルバルトさんにバレないよう首を横に振る。 「す、すまない!もう私自身が色々と興奮してしまっていて、ろくな説明もできていない。一旦気持ちを落ち着かせるよ」 そう言って深呼吸をするアルバルトさんを見て、決してこの人は悪い人ではないそう確信した。 疑う心は常にどこかに持っておきなさい、なんて通っていた大学の先生に言われた事もあったけど、信じることもこの際必要だ。 少ししてアルバルトさんが落ち着きを取り戻せたのか、もう一度姿勢を正して私を見つめた。
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