本日、死にました。

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それでは、と再び改めて一礼するアルバルトさんにつられて、私も慌てて一礼する。 企業説明会のような感じなのに、緊張感はまるでない。 「我々は転生者が生きていく世界をより良い世界にするために活動している会社だ。会社と言っても認知度はない。むしろ秘密機関に近いかもしれない」 秘密機関を会社と呼んでいいものなのか、と首を傾げそうになるがアルバルトさんの言葉に集中する。 「我々のクライアントは神々のみ。こちらが神々の条件を満たす転生者を選定し、神の元へと送る。そして選ばれた転生者はその神が創造した世界で、平和を守ったり均衡を保つ役割として再び命を全うする……そういうシステムになっている」 ファンタジー要素を取り除けば、クライアントの希望に沿った商品を上手く捌いていく仕事と受け止めて良さそうだ。 しかし、その中に利益が生まれる要素がない。 転生者を売買しているなんてことを口にしたらならば、即座に断ろう。 「あの……どうやって利益を得るんですか?」 恐る恐る口にするがアルバルトさんの真剣さは、何一つ変わることはなかった。 「リカさんの世界にも神にお供えをしたりする習慣があるように、こちらの世界にも神に祀る物がある。それは神々に渡ると魔力に変わる」 「魔力……」 「ああ。まあ、我々はその魔力を受け取るわけにはいかないから、その祀られた物達を生み出してもらい、それを商品として売るんだ」 複雑な商品開発だ……と思いながら、頭の中で説明してもらったことを整理する。
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